【環境総集編】ウンゴロ環境メイジ総論

 こんにちは、ROY1380(@ROY1380S)です。

 日本時間で2017年4月7日に発売された「大魔境ウンゴロ」の環境も終わりに近づき、新パックである「凍てつく玉座の騎士団」が同年8月に発売されることが決定しました。今回はそのウンゴロ環境で台頭した、様々なメイジのデッキを振り返ってみようと思います。

クエストメイジ

クエストメイジの概要

 クエストカードのウェイゲートの開門は実装前の公表段階から、コミュニティに大きな衝撃を与えたカードでした。報酬カードである時間湾曲の「もう1ターン分行動できる。」という効果から、準備に1ターンかかるドリームコンボが可能になりました。

各デッキについて

S37 dog クエストメイジ

 まず初めに登場したのは、dog選手が使用した型(画像.Quest1)だと思われます。旧来のフリーズメイジが基本となり、フロストノヴァやブリザード、アイスブロックなどを駆使して必要なカードが揃うまで時間を稼ぎます。コンボとしては、魔法使いの弟子を鋳造で増やし時間湾曲を使用することで、次のターンに大魔術師アントニダスからのファイアボールをコスト0でプレイし続けるものです(以下ファイアボール型)。また、このデッキにはコールドライトの託宣師が採用されたことが、後のクエストメイジの構築に大きな影響を与えました。

S38 Rage クエストメイジ

 後にRage選手が使用したクエストメイジ(画像.Quest2)は、dog型と同様のファイアボール型ですが、エメラルドの巣の女王、峡谷の暴君ムクラ、キュレーターが採用された奇抜な型でした。峡谷の暴君ムクラから作られるバナナを使用することでもクエストカウントを進められるため、カバル教団の魔導書を1枚にしても十分達成することができます。峡谷の暴君ムクラを採用するアイデアは後の構築にも引き継がれていきます。

S40 HotMEOWTH クエストメイジ

 先ほどのRage選手とHotMEOWTH選手のやり取りに含まれていたクエストメイジ(画像.Quest3)です。環境も終盤に差し掛かり、洗練されたリストになっています。こちらもコンボはファイアボール型です。Rage型から峡谷の暴君ムクラを引き継ぐ形ですが、こちらはよりフリーズメイジのリストに似ています。中盤までフリーズメイジのふりをするプレイングも、有効に機能する場合があります。

S40 Spe6 クエストメイジ

 最後にこれまでのファイアボール型とは異なるコンボを採用したデッキを紹介します。Spe6選手が使用したクエストメイジ(画像.Quest4)は、コストが下がった魔力の巨人と溶岩の巨人をプレイして、時間湾曲で攻め切るというもの(以下巨人型)です。ファイアボール型と比較すると、コンボに必要なカードが少ないことからドローに余裕があることや、単独でも強力な巨人をプレイし、ボードを凍結し続けて勝利を狙えることなどが大きな利点です。欠点としては、出せる打点に上限があるため、装甲を積んで耐え続けることができるデッキには厳しい展開になります。

フリーズメイジ

フリーズメイジの概要

 フリーズメイジはスタンダード導入時にマッドサイエンティストがスタン落ちしたことから、ランク戦の環境では見る機会が激減しました。大会などでは使用されていましたが、2回目のスタン落ちでアイスランスやソーリサン皇帝が使用できなくなり、ワイルドデッキとなるかと思われました。しかし、魔法学者の追加により秘策サーチの復活と、メディヴの従者などによる打点の補充で復権を果たしました。

各デッキについて

S37 Abar フリーズメイジ

 dog選手のクエストメイジから1日と置かずに現れたのがAbar選手のフリーズメイジ(画像.Freeze1)です。アイスランスがスタン落ちすると共に他のヒーローのカードもスタン落ちしているため、秘策シナジーを追加したフリーズメイジは相対的に強くなっていました。今思うと、Abar選手の型ではドブネズミが採用されていたり、始原の秘紋が採用されていないことに驚きました。

S37 Monsanto フリーズメイジ

 Monsanto選手のフリーズメイジ(画像.Freeze2)は、Abar選手の型からドブネズミとフレイムストライクを除き、始原の秘紋やパイロブラストを加えることで、柔軟性と打点が増した型です。ウンゴロ実装から1週間と経たずに現れたこのデッキは、すでに1つの完成型であり、ほとんど変化せずに環境終盤まで使われることになりました。

S40 Grothendieck フリーズメイジ

 環境終盤にGrothendieck選手が使用したフリーズメイジ(画像.Freeze3)は、後に紹介するコントロールメイジとのハイブリッドのような形でした。通常のフリーズメイジと異なり、序盤からボードに展開できるこのデッキは、クエストローグのナーフにより台頭してきた翡翠ドルイドなどに有利なデッキです。マナ・ワームと終末預言者の相性の議論に、1つの答えを示したのではないかと思います。

発見メイジ

発見メイジの概要

 クエストメイジ同様、ウンゴロ環境で現れた新型のデッキであり、発見効果やランダム召喚によって、様々なゲーム展開を見せる特徴的なデッキです。使用者によって採用されるカードが異なり、無数のデッキが考案されました。また、後のコントロールメイジの原型になったとも言えるでしょう。

S37 PsyGunther 発見メイジ

 PsyGunther選手が考案した発見メイジ(画像.Discover)は、その柔軟な対応力により不利なデッキが少ないことから、大きな流行を起こしました。それは、軸となるカードが強力であるため、他のカードと差し替えたりランダム要素を積むことで、あらゆる環境やゲーム状況に対応できるためです。またこのデッキは後の様々なメイジのルーツとなっているため、発見メイジの登場がウンゴロ環境、最大の事件の1つでしょう。

秘策メイジ

[blogcard url=”https://kootam.net/roy1380-mage-3″]

秘策メイジの概要

 魔法学者がもたらした恩恵は止まることを知らず、秘策そのものを軸にしたデッキも考案されました。秘策により相手の行動に制限をかけたり、秘策シナジーでテンポを取る動きはトリッキーなプレイングを要求されましたが、それ以上に高いパワーで環境を席巻していきました。またどの秘策を採用するか、どの程度のフィニッシャーを積むかで様々な型が存在し、長く環境に留まることになります。

各デッキについて

S37 SkyWalker 秘策メイジ

 SkyWalker選手が使用した秘策メイジ(画像.Secret1)では、従来のテンポメイジに採用されるカードが多く含まれていました。秘策を駆使しながら、ミニオンと呪文でボードを制圧し、テンポを取り続けることでビートダウンを狙っていく構成です。このデッキを元にミニオンや秘策の枚数が調整され、様々な型が作られていきます。

S38 Sveiks 秘策メイジ

 Sveiks選手の秘策メイジ(画像.Secret2)は、SkyWalker選手の型からより攻撃的になっています。秘策の枚数が増え、カバールの下っ端を加えることで、より早く仕掛けていくことができます。上手く回すことができれば、相手の抵抗を許さずに倒し切ることができる、最もアグロ寄りの構成です。

春季選手権 Tredsred 秘策メイジ

 春季選手権の上海大会でTredsred選手は秘策メイジ(画像.Secret3)を使用しました。Sveiks選手の型から、カバールの下っ端を除き、ガーディアン・メディヴと希望の終焉ヨグ=サロンを加えた型です。低いスタッツのミニオンをフィニッシャーに差し換えることで、持久力を兼ね備えた構成になっています。序盤で倒し切ることができなかった場合でも、食い下がることができるため、最も弱点が少ない型です。

S40 Surrender 秘策メイジ

 環境終盤では、他のデッキでも活躍し始めてきた魔力の巨人を採用した型をSurrender選手(画像.Secret4)が使用しました。メイジは始原の秘紋で呪文のカウントを稼ぐことができるため、魔力の巨人との相性が良く、秘策メイジにも採用される形になりました。さらにアイスブロックが採用されていることも加えて、他のデッキとは異なり、ミッドレンジやコントロールに寄せた構成になっています。

コントロールメイジ

[blogcard url=”https://kootam.net/roy1380-mage-1″]

コントロールメイジの概要

 ウンゴロ環境中盤以降に現れたメイジです。発見メイジからの派生で、本来発見メイジが持っていた柔軟性は若干損なわれることになりましたが、台頭してきた他のデッキに対抗する形になっており、より洗練された形に変化し続けています。また発見メイジ同様、環境や好みによって様々なカードを入れ替えることができるので、無数のリストがあるのも特徴です。

各デッキについて

S38 Ryusei コントロールメイジ

 テンポメイジのようであり、発見メイジのフィニッシャーも含まれるRyusei選手が使用したコントロールメイジ(画像.Control1)です。その形からハイブリッドメイジとも呼ばれます。火山ポーションの採用によりアグロデッキへの対応力を高めつつ、挑発ウォリアーのような耐久力の高いデッキも倒し切れるだけの打点を備えています。後に様々なカードと差し換えたデッキが台頭することになります。

S38 Portia コントロールメイジ

 Ryusei選手のコントロールメイジと同時期に使用されたPortia選手のコントロールメイジ(画像.Control2)です。この頃からメイジ自身にも秘密を喰らうものが採用されるようになり、メイジの敵はメイジと言った様相になり始めました。パイロスが採用されていることが特徴的で、カバル教団の魔導書によって呪文でリソースを回復する形に対して、ミニオンによるリソースの確保が可能です。

S40 房州 コントロールメイジ

 房州選手が使用したコントロールメイジ(画像.Control3)は、強盗ログと大魔術師アントニダスが採用されており、フィニッシャーが豊富な型です。高い攻撃力と防御力を備えており、アグロにもコントロールにも強い構成になっております。ウンゴロ環境を締めくくる最終形のデッキの1つと言っても過言ではないでしょう。

総括

 実装前から話題になったクエストメイジに始まり、フリーズメイジ、発見メイジ、秘策メイジと続々と開発され、それぞれより環境に最適化していくために少しずつ改良されていきました。その過程でそれぞれの要素を持ち合わせたコントロールメイジが現れ、もはや正確に分類分けするのも難しいほど多種多様なメイジのデッキが作られました。多くのメイジデッキが台頭した様は、メイジが環境を支配していたと言っても過言ではないほどでしょう。
 元々メイジにはフロストボルトやファイアボールなどの優秀な除去カードが多かったことに加え、ウンゴロから追加された始原の秘紋と魔法学者の強力さが目に付きました。これらのカードはあらゆるメイジのデッキに加えられるようになり、他のヒーローと比べるとバランスが危ういようにも感じました。次の環境ではどのような形に収まるのか、期待して待ちましょう。
 1プレイヤーとしてもここまでのノウハウを生かし、次の環境に繋いでいくことを心がけたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です