こんにちは、ROY1380(@ROY1380S)です。
今回はTredsred選手が2017年の春季世界選手権で使用した、秘策メイジを紹介していこうと思います。また同選手がこのデッキから、ガーディアン・メディヴとパイロスを入れ替えた形でAsia-Pacific Spring Playoffsにて準優勝の結果を残しました。
かつてのテンポメイジの面影を残しつつ、豊富な秘策シナジーを加えた構成であるため、アグレッシブにボードに展開するプランが強力です。
上海観戦ガイド https://t.co/p7lKgLbebT pic.twitter.com/Fjo4ED4H40
— Tredsred (@Tredsred) 2017年7月1日
この記事のもくじ
秘策メイジについて
https://www.youtube.com/watch?v=38qf0jGQ7-4
デッキリスト
デッキコード
デッキ概要
秘策メイジは、現存するメイジの中でも最も早いタイプのデッキです。さらに、秘策による妨害手段が豊富で相手の行動を制限することができ、他のメイジとは違ったプレイングが要求されるトリッキーなデッキでもあります。
どのようなシナジーがデッキに含まれているか、相手の何に干渉したいのか、と言ったことを明確にし、取るべきプランを正しく設定していきたいです。
基本的なゲームプラン
このデッキは持久力に難があるため、基本的にはアグレッシブに仕掛けることが重要です。そのため、初動からテンポプランを意識して、ボードを制圧していくことが望ましいです。
テンポプラン
マナワーム、魔法学者、メディヴの従者と低コスト帯の優秀なミニオンをボードに展開し、相手のミニオンを呪文やヒーローパワーで除去し、自分のミニオンを守りながらフェイスを詰めていきます。序盤のボードを形成できたら、魔法使いの弟子やキリン・トアのメイジ等で呪文や秘策のコストを踏み倒すことで、よりテンポを加速させていきます。更に秘策を使ったことでコストが下がったカバールのクリスタルの運び屋まで繋げることができれば、ほとんどのデッキは対応できない状況になっているはずです。
あくまでもこれは理想的な展開であるため、実際にはこのように綺麗に回せないことの方が多いです。そのため、始原の秘紋やおしゃべりな本から獲得した呪文でどこまで補正できるかが腕の見せ所です。
秘策の運用
このデッキには鏡の住民と呪文相殺がそれぞれ2枚ずつ採用されており、相手のアクションに積極的に干渉することができます。
鏡の住民
ミニオンによるビートダウンを狙うことが基本戦術であるため、鏡の住民でミニオンを1体展開できるだけでも大きなアドバンテージになります。これはゲーム終盤に大型のミニオンを獲得できれば一発逆転もあり得ますし、小型でも序盤に1体獲得できるだけで、相手に厳しいボードを押し付けていけます。あまり大当たりを狙うのではなく、ゲームを優位に運ぶことを考えて使う必要があります。
呪文相殺
呪文による除去が豊富なデッキが相手であれば、呪文相殺によってミニオンを守ることでテンポを維持できます。こちらの強力なミニオンを保護できれば、それだけでゲームが決まることも多々あります。しかし相手によっては、滋養や剣竜騎乗のような高コストの強力な呪文を採用したデッキもあるため、これらを相殺して1ターン浪費させることで致命傷を与えることができます。鏡の住民同様、大物捕りも狙えますが、相手のデッキやボードの状況によって使うべきタイミングの見極めが重要です。また、コインや低コストの呪文で剥がされてしまうことも考慮しましょう。
最後の切り札
アグロデッキ相手にボードが拮抗した場合や、コントロールデッキにぎりぎりで捌かれてしまった場合など、テンポプランで勝負を決めきれなかったときは、ある程度呪文を温存することを視野に入れ、ガーディアン・メディヴからの取り返しを計りましょう。序盤から畳みかけるように動けていた場合は、相手側としては除去が残っておらず、ガーディアン・メディヴ本体の攻撃が通ることも多々あるため、最速でテンポを意識した出し方も強力です。
取り返しの利かないボードや、徐々に不利な形勢に追い込まれてきている場合には、希望の終焉ヨグ=サロンを切ることを躊躇わないようにしましょう。悪あがきのようなものかもしれませんが、10ターン目まで生き延びていれば、それなりの枚数の呪文を使用しているはずなので、何かしらの影響は期待できます。
各マッチアップのマリガンとゲームプラン
基本となるマリガン
マナワーム 魔法学者 魔法使いの弟子
素早く仕掛けるためにも最重要なカードです。
マナワーム+始原の秘紋
マナワームを強化して一気に畳みかけるプランも望めるため、少々強引な詰め方でも狙う価値はあります。
魔法学者+カバールのクリスタルの運び屋
2ターン目から4ターン目までの行動が約束されるので、安定感があります。さらにキリン・トアのメイジを加えられると非常に強力です。
低コストミニオン+キリン・トアのメイジ
1,2ターン目の動きが確実で、キリン・トアのメイジで強気に攻める展開も強力に働く場合があります。キリン・トアのメイジ単体でも攻撃的なスタッツをしており、相手側から厄介なミニオンであり、3ターン目までに秘策を引く可能性も十分にあります。
vsアグロドルイド
相性:やや不利 追加マリガン:フロストボルト
このデッキには、アグロドルイドの展開力に対する回答がありません。そのため、ボードを取られることはそのまま敗北に繋がります。錬気+獰猛なヒナへの返しとして、フロストボルトをキープしつつ、低コストのミニオンを展開して押し返すしかありません。しかし、こちらも魔法使いの弟子などで加速し、相手の展開力に対応することも十分できるはずなので、辛抱強く相手のボードを除去して反撃の隙を伺いましょう。
ワンポイント:動き回るマナを相殺することができれば相手にとって丸々1ターンのロスになり、逆転のチャンスを作れるため、呪文相殺がゲームを決めることがあります。
vs翡翠ドルイド
相性:有利 追加マリガン:呪文相殺
こちらから確実に仕掛けられることから、あっさりと畳みかける展開が多いです。序盤からしっかりミニオンを展開して、ボードを呪文で処理しつつ、ビートダウンを狙って攻めましょう。また、呪文相殺で滋養を相殺することができれば、相手側に大幅なロスが生じ、ハンドの補充を許さずにゲームを終わらせることができます。
vsコントロールメイジ
相性:やや有利 追加マリガン:特になし
フリーズメイジ以外はどのタイプのメイジでも共通して、先にボードを固めた方が勝ちます。お互いに火山ポーションで倒せるミニオンも居なければ、フレイムストライクで取り返されるまでのターンで十分なダメージがフェイスに通っているはずです。残りの打点を呪文で稼ぎつつ、相手が攻勢に出る前にアイスブロックを割ることができれば、そのまま倒し切れるはずです。
ワンポイント:秘密を喰らうものが採用されていないため、アイスブロックを剥がして倒すことができないこと、更にアイスブロックも採用されていないことから、少々無理をしてでも急ぐ必要があります。
ドラゴンプリースト
相性:五分 追加マリガン:フロストボルト
プリーストのミニオンは、一度展開されてしまうと除去しにくいため、序盤からボードで負けないように立ち回りましょう。また5ターン目にドラコニッド諜報員を展開することは予想しやすいので、鏡の住民を貼っておくと上手く機能することが多いです。呪文相殺を貼りつつカバールのクリスタルの運び屋を展開することで、密言・死やドラゴンファイアポーションを相殺して、一気に押し込んでいく形も狙えます。基本的には後半まで粘られてしまうので、切り札の使用も視野に入れておきましょう。
ワンポイント:非常にやりづらい相手です。しかし、両者共に1枚でゲームを決めるほどのカードは含まれていないため、実力が試されるマッチアップだと思います。
ミラクルローグ
相性:有利 追加マリガン:始原の秘紋
ミラクルローグは展開が早いわけでもなく、強力なミニオンは終盤に集中しているため、序盤のミニオンを的確に除去していればビートダウンで徐々に削ることができます。こちらとしては最もテンポプランを通しやすい相手のはずです。しかし序盤に大型のエドウィン・ヴァンクリーフを出されてしまうと、いくら待とうが対応手はデッキ中に含まれていないため、始原の秘紋で動物変身などを作り出す必要があります。
ワンポイント:秘策が通りにくい相手ですが、ガジェッツァンの競売人を使いたいときは少しでもマナの余裕が欲しいはずなので、そのタイミングを狙って鏡の住民を貼ると有効です。
vs海賊ウォリアー
相性:不利 追加マリガン:フロストボルト
基本的に展開の早い秘策メイジですが、海賊ウォリアーは更に早いデッキであるため大きく不利です。更に呪文相殺の影響をほとんど受けないため、秘策が有効に機能しにくいこともあります。ボードを取られないように捌きつつ、ヒロイックストライクなどを相殺できることを祈るか、炎の大地のポータルから挑発を立てるぐらいのことをしなければ厳しいでしょう。
ワンポイント:実際苦しいです。
vs挑発ウォリアー
相性:五分 追加マリガン:ガーディアン・メディヴ
相手が動き出す前に勝負を決めることを目指しましょう。止めの一撃や乱闘の相殺を狙って、ミニオンを展開することができれば、早い段階で倒し切ることも可能です。またカバールのクリスタルの運び屋は、死憎悔いのグール+魚のエサで倒されないため、早く展開できると相手に負担を掛けられます。仮に長期戦になったとしても、相手からしてもメイジにはなかなかサルファラスを使うことができないため、ボードを制圧されてしまうまでは、切り札を意識して諦めずに粘りましょう。
ワンポイント:ガーディアン・メディヴや希望の終焉ヨグ=サロンが序盤でドブネズミに落とされて、除去されなかった場合は好都合です。畳みかけるようにフェイスを削っていきましょう。
総括
このデッキは上手く回れば回るほどハンドの消費が早く、慣れない人にはなかなか思い切ったプレイングが難しいかもしれません。呪文で自陣のミニオンを守るには、相応の早さでハンドの打点を消費しますし、秘策シナジーを活かしてテンポプランを後押しする上でも、秘策やカバールのクリスタルの運び屋のコストを踏み倒して早々に展開します。確かに適切な状況で高いバリューを出すことも重要ですが、このデッキのそもそものコンセプトを考えると、ほとんどのカードをクリティカルに使用することは困難であり、思い切ってテンポを優先することの方がはるかに多いはずです。恐らくこれが、どのようなマッチアップでも最も意識しなければならないことのように感じます。
また秘策メイジを難しくする別の要因として、マリガンの難しさがあります。他のメイジでは、序盤に必要なカードはほとんど決まっていますが、このデッキではキープできたカードによって、他に必要なものが変動します。それこそが秘策シナジーに関連するカードです。この問題については、基本となるマリガンの項で自分の見解を述べたつもりですが、恐らく最適解ではありませんし、人によって違う見解を持っていると思います。まだまだ研究の余地が残る部分なので、このデッキを使用する際は情報を踏まえた上で、様々なことを試行錯誤することでより良いプレイングに辿り着けるはずです。
前回の記事
[blogcard url=”https://kootam.net/roy1380-mage-1″]