【レビュー】星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン著

 こんにちは、ROY1380(@ROY1380S)です。

 今回はハードSFの巨匠、ジェイムズ・P・ホーガンの第一作目にあたる『星を継ぐもの』を紹介します。
 以前、古いSF小説を紹介してほしいとTwitterで募集して紹介していただいた作品で、とても楽しめた作品でした。

星を継ぐもの

本書について

 月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもなければ、ましてやこの世界の住人でもなかった。彼は五万年前に死亡していたのだ!
 一方、木星の衛星ガニメデで、地球の物ではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?
 J・P・ホーガンがこの一作をもって現代ハードSFの巨星となった傑作長編!
本書あらすじより

 本書は主人公の『原子物理学者』のヴィクター・ハント博士が、『国連宇宙軍本部長』のグレッグ・コールドウェルに呼び付けられ、とある事件の真相究明に乗り出すことで幕を開けます。その事件は月面という僻地で発見された所属不明の人間の遺体が検死の結果、五万年前に死亡していたというものであり、この要因を解明するためにハント博士は尽力します。
 五万年という時の流れから、地球人であるかも定かではないその遺体を巡って、様々な分野の専門家により研究されていく様が描かれています。中でも、『生物学』の権威であるクリスチャン・ダンチェッカー教授との意見対立や、言語学班の成果により様々な仮説の元、徐々に事件の解明が進められていきます。しかし、国連宇宙軍の『木星衛星派遣隊』からの奇妙な報告により新たな謎が浮上し、当初の問題もより複雑なものになっていきます。

本書を読み終えて

 本書の特徴は小説(フィクション)よりも科学(サイエンス)にスポットが当てられています。作中のテクノロジーの説明や、登場人物たちの議論の描写に大半が割かれ、物語のテンポはあまり良くありません。しかし、私はその細かな情景描写こそがこの作品の最大の魅力だと感じます。テクノロジーや組織、登場人物一人一人に至るまで、まるで実在するもののような詳細な説明がなされ、読み手はその世界観に引き込まれることでしょう。また研究者たちの議論の様子は、その人物たちの挙動一つまで描写されていることで、その場面を鮮明にイメージすることができます。そうした没入感の中で、登場人物の視点で謎が解き明かされていく様子を楽しむことができます。純粋なSFを堪能したい方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。科学に対して妥協しないホーガンの姿勢に満足させられることでしょう。

関連作品

 この作品には続編があるため、そちらも掲載しておきます。

また、コミック版もあるようです。

前回の記事

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